ガイドトレーニング
チェスのオープニングを忘れる理由
正しい指し手を見分けることと、自力で見つけることは別の能力です。一般的なオープニング学習では、前者ばかりを鍛えがちです。
3月には覚えていたライン
ある晩、一つのラインを勉強しました。3回繰り返し、すべての指し手を理解して、満足してタブを閉じました。ところが6月、そのポジションがチェス盤に現れても何も思い出せません。曖昧な記憶すらありません。
多くのプレイヤーは記憶力の問題だと考え、もっと熱心に勉強しようとします。しかし問題は記憶力ではありません。何をトレーニングしていたかです。
見れば分かることと、思い出すことは別です
チェスの指し手に対して、脳ができることは二つあります。
一つは認識です。指し手を見れば、正しいと分かります。その感覚はすぐに生まれ、とても確かに思えます。
もう一つは想起です。ポジションだけを見て、指し手を自力で思い出します。
認識は負荷が軽く、ゆっくり衰えます。想起は負荷が重く、早く衰えます。ラインを読み返して鍛えられるのは認識です。実戦で必要なのは想起です。
この差があるため、準備は前触れなく崩れます。ラインの知識全体が少しずつ悪くなるわけではありません。自分で確かめた能力は残る一方、実戦で必要な能力だけが失われます。時計が動き始めるまで、その違いには気付けません。
読み返すと勉強した気になる理由
読み返しはオープニング学習で最も一般的な方法ですが、効果はかなり低いです。それでも続けられているのは、勉強した実感を得やすいからです。
指し手を見るたびに、「そうだった」とすぐ確認できます。1手ごとに小さな正解の感覚が続くため、理解できたと思って学習を終えます。しかし実際に練習したのは、示された指し手を認識することだけです。実戦でその能力を問われる場面はありません。
確かめ方は簡単です。指し手を隠し、ポジションを並べます。答えを見る前に、次の手を記憶だけで声に出すか、チェス盤で指してください。ラインを読むよりはるかに難しいなら、読み返す練習は役立っていません。
準備が実際に崩れる三つの形
最初から身に付いていませんでした。 ラインを見て分かることを、覚えていることと取り違えました。最もよくある形で、自分では気付きにくい失敗です。
一度は身に付けたのに失いました。 正しく想起できていても、11週間放置すれば忘れます。記憶は倉庫ではありません。一定の曲線に沿って薄れ、最初は特に急速です。
間違った形で覚えていました。 ポジションを学ばず、手順を暗記しました。相手が同じ指し手を違う順序で指すと記憶と一致せず、知っているはずのラインを使えなくなります。
それぞれ必要な対処が違います。だから「もっと勉強する」だけでは、ほとんど解決しません。
代わりにすること
重要な順に、三つ変えます。
指し手を自力で思い出しましょう。 ラインは見ません。ポジションだけを見て答えます。できなければ、「まだ覚えていなかった」という役立つ事実が分かります。
練習の間隔を空けましょう。 試行の間に時間を置くことで、長く保持できる記憶になります。今夜4回復習するより、今夜、明日、来週に1回ずつ復習するほうが効果的です。
指し手を理由と結び付けましょう。 理由が分かる指し手は、手順が変わってもポジションから組み立て直せます。手順の4番目として覚えただけの指し手では無理です。
どのくらいの頻度がよいか
間隔を空ける方法にも、適切な範囲があります。早すぎれば、まだ新鮮な記憶を確認するだけで、定着にはつながりません。遅すぎれば本当に忘れ、最初から学び直すことになります。
最も効果的なのは、思い出せなくなる直前です。その時期はポジションごとに変わり、感覚だけでは判断できません。具体的な間隔は オープニングラインを復習する頻度で解説しています。
あまり語られないこと
忘れることは欠陥ではありません。何を残すべきかを選ぶ、記憶の通常の働きです。判断に使われる信号は一つです。その情報を最近必要としたか、そして思い出すために努力したかどうかです。
ラインを読むだけでは、その信号は弱くなります。プレッシャーの中で指し手を思い出せば、強い信号になります。オープニング学習のほかの要素は細部にすぎません。
復習の予定を任せたい場合、Chess Prep Proは自分のレパートリーからポジションを出題し、一つずつ次の復習時期を決めます。